クライマーのための読書
ジョンギルのスーパーボルダリング パット・アメント著
1950年代アメリカのボルダリング界をけん引してきた ジョン・ギルをご存じでしょうか?
当時ボルダリングといっても 認知されておらず、クライミングといえば困難な登山を指す言葉であり、転がっているボルダーを登ることは、練習とされていた時代。
私がジョンギルの存在を知ったのは”クライミング用具全集”のチョークの項目で
書かれていた一文 (クライミング用具全集が手元にないので正確な文章ではない)
松脂の使用はルートの破壊行為である
一体ジョンギルとはどんな人物なのであろうか
チョークとジョン・ギル
先ほどの松脂の話には続きがあり、今クライマーならだれでも使うであろうチョーク。初めてジョンがチョークを使ったと言っているのである。いづれ誰かが使い始めるとは思うが、我こそはチョーク第一人者である。というのも面白いですね。
この部分だけ読むと、ジョンは自己主張の強いヤツなんて思うかもしれませんが、ジョンギルのスーパーボルダリングを読む限り、かなり 控えめな 性格のようです。自分の考えるトレーニング法や、食事など垣間見えボルダリングを楽しむために全力で人生をささげていたことがうかがえます。
トレーニングでは、体操の要素を多く取り入れたり、スティンブルという課題では極小ホールドに耐えるために、体育館のボルトをつまんでトレーニングを積んだりと 自分で考えて鍛えていたようです。同僚からは、マイナーなボルダリングのために、ボルトをつまむトレーニングをしている様子はさぞ奇怪に見えたでしょう。
食事についても、たんぱく質をしっかり摂取するために、粉ミルクを少ない水でドロドロに解いたものを食べたりと 独創的な方法をとっており興味深いです。完全にプロテインですね。
ジョンギルが活躍していた時代
ジョンがボルダリングをしていた時代は、ロープルートのグレードが5.10台が高難度とされていました。これは、現在一般的なスポートルートで当たり前にあるボルトがまだ広まっておらずナチュラルプロテクションをセットしながら登るのが普通だったためのようです。
シューズにおいては登山靴、クラッシュパッドなんてありません。ボルダーを安全に登るには、腰にスリングを巻き付けてハーネスの代わりにし、トップロープで登るのが一般的だったようです。ちなみに今のようなハーネスはまだ生まれておらず、写真を見る限り”腰ひも”といった感じです。
フリーソロで当時のリードグレードを更新していた
そんな時代にハイボルダーでスティンブルを登っていたのは驚きです。ちなみにスティンブルは5.12aとされており、マットもない時代にトライしていたのは驚きです。のちに日本人の草野さんがスティンブルに挑戦しております。この時は気持ち程度に寝袋を敷いてトライしたそうです。
この本をお勧めする理由
現在と変わらないボルダリングスタイルを確立していたジョンギル。この本は、写真が多く見ているだけでも楽しい本です。
私が購入したときは1万円でしたが、1.5万円まで値段が上がっていますね・・・
クライミングフリー リン・ヒル著 グレッグ・チャイルド著
ヨセミテのノーズを最初にフリークライミングで登った人物をご存じでしょうか。初登頂などの偉業の多くは男性がによるものが多いのですが、ノーズのフリー化に至っては、リン・ヒルという女性クライマーが達成しているのです。
レジェンド
アメリカのフリークライミング界とくにヨセミテにおいて、ストーンマスターというグループが活躍していた時代がありました。パタゴニアのお店などで置いたある、クライマーの写真がたくさん載っている分厚い大判の写真集を見たことがある方もいるのではないでしょうか?リンヒルはその中の一人なのです。
当時活躍していたクライマーたちはフリーソロの事故や、その他の理由により鬼籍に入っている中でリンヒルはいまだにクライミングで活躍しています。
最高難度の課題を登るというのではなく、クライミングの普及や、若手の育成に力を入れているようです。アシマちゃんの動画でもちょこっと出ているのを見かけますよ。ペツルのRocktripの動画にも出ているので紹介します。リンヒルのインタビューは3分58秒です。
クライミングフリーの読みどころ
クライミングはまだまだ歴史の浅いスポーツですが、かつて活躍してきたクライマーたちの話を現代に伝える一冊といえるでしょう。女性であるリンヒルがクライマーとして世界で活躍する話など、多岐にわたる話はとても面白いです。
アルパイン考 横山 勝丘 著
横山勝丘さんはパタゴニアのクライミングアンバサダー と紹介しようと思ったら、ウィキペディアに載っていたので、リンクを張り付けておきます wiki へ
こちらの本は、横山さんの思考が存分にちりばめられた一冊
パタゴニアのフィッツロイトラバースへの挑戦や、カナダや、ヒマラヤから、ショートルートの多い日本でどうやったらビックウォールのトレーニングができるのか?
今ならkindle30日間無料 しかもこの本も0円読むなら今!
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