戸隠 沢登り 釈迦スラブ 岩雪崩の話
この記事は注意喚起のための記事です。釈迦スラブは大変危険なので入らないでください。
私はその危険性を知らずに友人と入渓し岩雪崩を目撃しました。
幸い友人も私もケガはありませんでしたが、タイミングが悪ければ相当数の岩を食らってただではすまなかったでしょう。
岩雪崩?
岩雪崩なんて言葉聞いたことない人がほとんどではないでしょうか?
私も体験するまで聞いたことありませんでした。
冬山を舞台にした映画では、雪崩はエンターテインメント性高める要素の一つで、
大きな声で雪崩が発生!
拳銃1発で雪崩が発生!
なんて表現もありますが、これで発生するか否かはともかく映画によって雪崩は有名になったと思います。
これに対して岩雪崩は、雪が岩に置き換わったものです。
落石の複数形ですね。
1個の落石→落石
2個の落石→落石
めちゃくちゃたくさんの落石→岩雪崩
こんな感じではないでしょうか。こんなの食らったら大けがor死亡は免れないのではないでしょうか。
戸隠キャンプ場からも見える釈迦スラブ
写真の中央奥に見える逆三角形の灰色の場所が釈迦スラブです。
釈迦スラブへは小川を遡行することで到達できますが、決していかないでください。沢登り自体は、水も少なく泥の斜面を登ったりといった感じで、爽快さはありません。
沢を詰めあがると、釈迦スラブに到達します。
ここからは、沢靴でなくクライミングシューズに履き替えて登攀することになります。ノーハンドでも登れますが、プロテクションは全く取れないのでとても怖かったのを覚えています。
また、小石がそこら中に落ちており、ロープに触れると逆三角形の地形のため。小石達は下でビレイしているビレイヤーのところへ集中的に集まりやはり危険です。
釈迦スラブを見上げた写真の右奥に、そそり立っている岩壁が見えますが、この基部にリングボルトによるアンカーがあったのを覚えています。
そしてこのそそり立つ壁が問題児なのです
戸隠連山は簡単に崩れる岩質
このそそり立つ問題児は、とてももろい岩質で、何かのタイミングで大量の落石を生み出します。
先ほど、スラブ上に小石が大量に落ちていると書きましたが、この小石はおそらく、落石の際にスラブが欠けて生まれたものだと思われます。
後になって考えると、スラブ面には菊の花のような放射状の模様がたくさんあったのを覚えています。これは、おそらく落石が激しくぶつかったために放射状にスラブが砕けた跡だと思います。
戸隠連山はとても荒々しく、冬に行くととてもカッコいい山容です。
しかしながら、この荒々しい山容は 岩質が崩れやすいために生まれた ということを忘れてはいけません。
釈迦スラブ上部のそそり立つ壁は、大変にもろくいつ何時落石を生むのかわかりません。
私たちのパーティーがどうにか釈迦スラブを突破した後、5分もしない内に岩雪崩が発生し、握りこぶし2個分~頭のサイズ程度の岩が数百レベルで私たちが登ってきたスラブを下っていきました。
そしてその後10分もしない内に、同程度の岩雪崩が発生したのです。
運よく登り終えた後だったから良かったものの、食らっていたらと考えるとゾッとします。
冒険的な、登山や、クライミングではスピードが重要視されることがありますが、今回の経験で実感しました。
いかに危険な釈迦スラブに滞在する時間を短くできるか?
危険な地帯に長く居座ることの危険性を改めて感じました。釈迦スラブ自体はスリップする恐れもないので、コンティニュアスで二人同時に上り、とっとと通過してしまうのが最も安全な登攀だったと思います。
もっとも、こんな危険なルートにはいくべきではありませんね。
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