kubo's.blog Written by s-kubota

地面師たち アノニマス

書評


ネットフリックスでドラマ化された”地面師たち ”の小説版面白かったです。

私はAoudibleで聞いているのですが、人物ごとに声優を割り当てられているので、音声だけでも大変聴きごたえのある作品になっています。

今回聞いた”地面師たち アノニマス”は、地面師たちの前日譚 登場人物の輪郭をよりはっきりさせるための作品といえるでしょう。

作中で地面師たちのメンバーがどのようにして”ハリソン山中”と繋がっていったのか?

地面師たちではそれぞれのメンバーがチームとして自分たちの役割をこなしている前提でストーリーが進行していくので、メンバーのバックグラウンドまで気になりませんでしたが、本作”地面師たちアノニマス”では一人一人の人物像がしっかり書き込まれているので人間味がグっと出てきたように思います。

考えてみれば、成功報酬がいくら高額になる地面師という詐欺行為

普通の感覚では到底やろうなんて思わないですよね。お金が手に入っても捕まってしまっては元も子もない。ハリソン山中にいくらお金を積まれてもすぐやろうなんて思いません。

だけど、メンバーそれぞれが”金が欲しい”という立場に追い立てられ、ハリソン山中との関係がどのようにして構築されていくのか明らかになる。

本作品を聴いていて思ったのは、浦沢直樹の”MONSER”に出てくるヨハンの手口。

ヨハンは標的を孤独にして、ヨハンしか頼る人しかいない状況をつくり、目的を達成していきます。

ハリソン山中が図ったのか?それともメンバーそれぞれの気質のせいなのか?

地面師たちはそれぞれの役割を完璧にこなして詐欺を成立させていました。

メタ的には人が集まらないことにはストーリーが動き出さないので、集まらざるを得ないですが、地面師たち アノニマスを読むことで、地面師たちの人物像がより一層くっきり見えてくるように思いました。