ロープソロシステム のショックアブソーバーの効果
ロープソロをたしなんでいる皆さんは落下したときの衝撃を緩和するためにショックアブソーバーを使っていると思います。
でも実際ショックアブソーバーって効果あるんだろうか?
ない場合はどうなってしまうか気になっていると思います。
この記事では、落下した際の衝撃力(荷重)を測定してショックアブソーバーが あるとき と ないときでどれだけの違いがあるのか確認してみました。
ロープソロシステムのショックアブソーバーとは?
そもそもショックアブソーバーって何?って思う方もいらっしゃると思います。
このショックアブソーバーは、ホームセンターの自転車コーナーなどで売っているに荷造り用のゴム紐を束ねたものです。
この荷造り紐を束ねただけのゴムひもの塊をロープソロのショックアブソーバーとして使います。
ロープソロにおけるショックアブソーバーの役割とは
当たり前ですが、ロープソロはビレイヤーが存在しないです。
ビレイヤーがいないことによる弊害はいくつもありますが、ショックアブソーバーをロープソロシステムに組み込むことで解決することがあります。
それは、クライマーの落下衝撃を和らげる(と言われている)ということです。
クライマーが落下するときに、ビレイヤーもロープで引っ張られることにより、テンションがかかってから落下するまでの時間がほんの少し時間が長くなります。
そうすることにより、落下したときのクライマーにかかる衝撃が緩和されます。
衝撃力(N:ニュートン)は”重さ×加速度”で計算できます。
例えば体重60㎏の人が0.5秒間落下したのち、ロープにテンションがかかって、0.05秒かけて止まったとします。その計算は次のようになります。
落下してから0.5秒後の速度は9.8m/s^2×0.5秒=4.9m/s
加速度は、0.05秒かけて4.9m/sが0m/sへ変化することから98m/s^2となります。
衝撃力(N:ニュートン)は60㎏×98m/s^2=5880Nになります。
もしショックアブソーバーを付けて、ゴムが伸びることでテンションがかかってから停止するまでの時間が0.05秒から0.1秒になった場合の加速度は、49m/s^2となり、衝撃力は以下のようになります。
衝撃力(N:ニュートン)は60㎏×49m/s^2=2940Nになります。
このように衝撃力は人間の感覚ではその差がわからないほどのわずかな時間の差によって大きな違いが現れます。
因みに先ほど計算した5880Nは約588kg相当で、2940Nは約294㎏相当となります。
つまりショックアブソーバーの狙いは、クライマーが落下したのち、ロープにテンションがかかってから停止するまでの時間を伸ばすことにより、クライマーにかかる衝撃力を下げることです。
【失敗】アブソーバーを付けても衝撃力が下がらなかった
実はこの実験は2回目。
1回目は、ショックアブソーバーを付けても衝撃力が低下しませんでした。
1回目はショックアブソーバーのゴムが伸びきってしまったため、落下したときにロープに荷重がかかってしまったためにショックアブソーバーがあっても無くても大差ないような結果となってしまいました。
因みにこの時の衝撃力は2000N(2kN)以上でした。
ボルトの強度が25kNとかなので、ボルトに対しては全然問題ないですが、人間にとっては自分の体重よりも大きい荷重になりますね。
【リベンジ】ショックアブソーバー改善して衝撃力低減
前回ゴムが伸びきってしまったため衝撃力が下がらなかったことを受けて、ゴムを追加して伸びきらないようにしました。

こちらが今回の測定結果です。
圧倒的な差はありませんでしたが、ショックアブソーバーありの方が衝撃力が低下しました。
実験していてこんなことをいうのもなんですが、落下するのも結構怖いので落ち方が安定せず測定結果にばらつきが出ていると思います。
また、落下するたびにロープの結び目が締まっていくので、衝撃荷重が高くなっていくようにも感じました。(結び目も衝撃吸収しているといることですね)