ドイツ人が教えてくれたストレスを溜めない生き方
久保田 由希 著 産業編集センター
あなたは外国という単語からどの国が思いつくでしょうか?アメリカ?中国?韓国?世界には200以上の国と地域がありますが、今回私が紹介する”ドイツ人が教えてくれたストレスを溜めない生き方”では、ドイツではどのような生活様式をしているか知ることで、皆さんの視野を広げていただきたいと思います。
ドイツはどんな国
まずはドイツという国について紹介
ドイツについて外務省のHPから抜粋しますと 外務省HPはこちら
- 人口 8,315万人 19年9月
- GDP 欧州No.1
- 先進工業国であり、日本にとっても重要な貿易相手(ユーラシア大陸では中国について2位)
また、貿易額などについても日本と比較した結果が下の表になります。データはJETROのHPから拝借してきました。JETROのドイツのデータはこちら 日本のデータはこちら データは2018年なので先ほど挙げたデータの人口とは若干異なります。
何ということでしょう!日本は貿易大国と思っていた人もいるのではないでしょうか?ですがドイツにたいして、日本の方が貿易収支額が低いのです。ただし、この表からだけでは、日本の方が人口が多いので輸入額の多くは内需に回っている。と考えることもできそうです。
しかしながら、この貿易収支を評価するとすれば、ドイツは日本の65%の人口で1.6倍の原材料を輸入し、日本の2倍以上の付加価値を付けて世界に販売している。といえるのです。
よくニュースでも、日本は世界と比較し就労時間が長い。と報道されていますが、この数字だけ見ると、日本人の生産性って何なんだ?それともドイツが異常なのか?と思いドイツに対し興味を持ちました。
ドイツのブランド
ドイツのブランドをウィキペディアから抜粋しますと、有名なメーカーがゴロゴロ出てきています。有名メーカーを下に列挙させていただきます。
自動車関係
- ダイムラー
- メルセデスベンツ
- フォルクスワーゲングループ(アウディ、ブガッティ、ポルシェなど)
- コンチネンタル
- ボッシュ
その他
- シーメンス
- ケルヒャー
- アディダス
- ライカ
世界で活躍するドイツメーカー いったいどんな生活をしているのでしょうか?日本企業で働くあなたからしたら、競合メーカーがドイツメーカーの場合もあるのではないでしょうか?
世界で活躍するドイツ企業がたくさんあることは分かったのですが、このような成果を出すためには、相当な激務で疲れ果てているのではないかと想像してしまいます。
ところが、今回紹介する本書は”ストレスを溜めない生き方”なのです。ですから、あなたのパフォーマンスを上げて生産性を高める生活を見直すヒントがちりばめられていると思います。
ドイツ人教えてくれたストレスを溜めない生き方
日本とドイツを比較していたら、熱が入りすぎ前置きが長くなってしまいました。
本書は5つの項目に章立てられており、ドイツでの生活と、日本での生活を比較し解説されております。
- 働くこと
- 休むこと
- 住まうこと
- 食べること
- 装うこと
本書の中で、私が面白いと感じたことをいくつか紹介したいと思います。
ドイツ人のサービス精神 対価に見合った仕事
ドイツにはサービス砂漠という言葉あるそうです。日本では根底にお客様に失礼がないようにという認識のもと、価格帯が下がっても一定のサービス精神というか、おもてなし的な対応があるように思えるのですが、ドイツでは価格以上のサービスは無い と考えた方が普通のようです。あまりにもサービス性がないので、”砂漠”という言葉がついており、ドイツ人自身もこれに気づいている様子がうかがえます。ですが、逆にサービスが良ければ、チップをはずんだりする気持ちになるようです。
振り返って日本に置き換えて考えると、サービス自体はコストに反映されていないとすれば、過剰に供給する必要もないかもしれないですね。あまり丁寧すぎるのも、心苦しく感じてしまいます。
幸福度を上げる合理的な食事
ドイツの食事は、とても合理的です。合理的というと無機質な感じがしてしまいますが、より家族の団らんを充実させたり、リラックスするための合理性なのです。
平日の夕食は、パンとチーズ、サラミやソーセージといった 加工品 で終わりのようです。ドイツ人からすると、夕食に日本のようにたくさんのおかずを食べると、胃もたれしてしまう というのです。日本の食事研究科にコメントを求めたら、健康に悪い!けしからん!と怒り出しそうですが、結果的に幸福度が上がる気がするのです。
利点を挙げると
- 準備が簡単な食事にすることで、食事を作る時間を短縮できる
- 切って並べるだけなので、子供でも食事の準備ができる
- 共働きでも無理なく続けられる
ドイツでは、食事が一家団らんの時間ではなく、食後のボードゲームの時間が一家団らんの時間になっているそうです。友人にこのようなゲーム(非電源系ゲームと呼ぶようです)にはまっておりルールを説明してもらったのですが、結構複雑なルールで、ロジカルに考えないと勝てないゲームも多くあります。単純明快で面白いものもたくさんあります。
ですから、難しいルールのゲームでは、親が子供にヒントを与えながらゲームを教えるそうです。このようにして、ドイツではロジカルシンキングを学んでいるのではないかと、筆者は指摘していました。
ここで、簡素な食事の利点が生きてくるのです。
子供は早くボードゲームがしたいので、夕食も早く食べてしまいたい。と考えるようになり、準備も簡単なので容易に覚えることができます。こうなると、子供は自主的に食事の準備をするようになりますよね!素晴らしい!
簡素な食事ばかり作っていては家庭の味が失われてけしからん!
と、またまた怒りだしそうな方もいそうですが、手の凝った料理は週末などに家族で作ったりするそうです。
つまり、家族で料理すること自体がレジャーの要素を含んでいるのです。週末家族サービスで遠出!というのも減らせますね。もっとも、”家族サービス”という言葉もどうかと思いますが・・・
自分の住まいをより快適にするための週末の過ごし方
料理を家族で作るというのも、過ごし方の一つのようですが、他にもDIYを楽しんでいるようです。ドイツでは古い住宅の方が価値があるという認識があるそうなのですが、そのまま使うよりは壁紙を自分で張ったり、ペンキを塗ったりするそうです。一家に1台インパクトドライバーがあり、ホームセンターでは自分好みのペンキのカラーを調合してくれるそうです。驚きです!
石造りの歴史ある住居を、自分でカスタマイズし、より居心地のよい環境を自ら作ることを楽しんでいるそうです。
本書から学べるポイント
本書は、週末起業塾で紹介する本としては、いささか趣旨がずれている気がするかもしれません。しかし、冒頭で日本とドイツを比較したデータを目の当たりにしたときに、日々へとへとになるまで働いているのにもかかわらず、ドイツとはこんなにも差が開いているのは、きっとドイツ人もさぞかし疲れ果てているに違いない。と考えました。
ところが、本書を読む限り、遅い時間まで仕事をしているわけではなく、家族との時間を作るために食事を時短したり、家でくつろげる空間を自ら作ったりと、様々な工夫をしていることを知りました。
スキルアップするにせよ、今以上の時間的余裕や、精神的な余裕が作り出せなければ継続することは困難ですよね。
日本のことしか知らないと、生活の選択肢の幅が広がらず改善の余地があることに気が付けないと思い本書を紹介させていただきました。
またこの本は、ドイツでの生活様式を知るにも最適な本なので、ドイツへ出張される方や、留学を検討している方にも向いていると思います。
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