ビレイデバイス 3機種 レビュー
私が今まで使ってきたビレイデバイスについて解説したいと思います。
ATCからオートロック付のビレイデバイスへステップアップしようと考えている方にお勧めの記事です。
今まで使ったビレイデバイスでもっとも使いやすかったATCパイロット
今回紹介する三機種で最も使いやすいのは間違いなくブラックダイヤモンドのATCパイロットです。
理由を挙げると下記のようになります。
- オートロック機能がついている
- ロープセットが簡単
- 操作性が直感的
- 構造がシンプルで故障の恐れが少ない
- オートロックからの解除が簡単
- 軽い
- オートロック機能付きのビレイデバイスの中では安い
以下ビレイデバイスについて説明しながら優位性を解説します。
そもそもビレイデバイスとはどんなもの
ビレイデバイスとは
ルートクライミング(ロープを使ったクライミング)は、登るクライマーと、ロープをコントロールするビレイヤーの二人で行います。この時ビレイヤーがロープをコントロールするのに使用するのが、”ビレイデバイス”です。
確保器、ビレイ器、ATCなどの呼称もあります。
最近では、オートロック機能が付いていないものをディッセンダー(下降器)。オートロック機能がついているものをビレイデバイスと呼ばれるようになっています。
ビレイデバイスの機能は下の2点になります。
- 滑落するクライマーを止める
- ロープにぶら下がったクライマーをおろす
どうやって止めるの?
大きく分けるとロープを折り曲げることで、ロープの流れを止めるタイプと、ロープをビレイデバイスの部品で挟み込むことで流れを止める2つのタイプがあります。
ビレイデバイスとは、上記のいずれかの方法でロープを止める道具です。
金属製の爪でロープを止めるものはありません。似ている道具でアッセンダー(旧称ユマール)というものがありますが、こちらはロープを登るためのもので、使用用途は全く異なりますのでご注意ください。
どんな種類があるの?
大きく分けると、ビレイヤーがロープをつかんで折り曲げて止めるタイプと、ロープが勢いよく出ると自動的にロックがかかるタイプの2種類。
ロープワークの経験がない初心者はオートロック機能のものを選んでほしいです。
なぜならば、初心者と思われる方のビレイ&ロープ操作がちゃんとできていないのを度々目撃するからです。
今まで使ってきたビレイデバイス
今まで使ってきたのは、ルベルソのようないわゆる”バケツ”タイプのビレイデバイスが3種類、オートロック機能がついているビレイデバイスを2種類使ってきました。
この経験から、それぞれの良し悪しを書いていきたいと思います。
尚、あくまでも個人の意見なので購入の際にはご自身で判断をお願いします。
ペツル ルベルソ3 レビュー
いわゆるATC系のルベルソ3は10年ほど使っていました。
ルベルソのようなタイプのビレイデバイス(正確にはディッセンダーという下降器という分類になるという説もあり)は、クライマーを止めるにはビレイヤーがしっかりロープを止める必要があります。
ロープを止めるにはロープを曲げれば止まりますので、ロープをちゃんと曲げておけば、握力がなくとも止めることができます。
ルベルソはこのようなロープを曲げて止めるタイプにおいてブレーキが掛けやすいです。
ビレイヤーがつかむ側の口がV字になっているので、ロープの太さによらずブレーキが掛けやすい設計になっているからです。
ブレーキが掛けやすいということは、ハングドック中に握る力も少なくて済むというメリットがあります。(ハングドック:クライマーがムーブを探ったりレストするときにロープにぶら下がることになります)
ブレーキが掛けやすいといっても、ビレイヤーはずっとロープを握り続けていなければならず、疲れてしまいます。
良い点
このようなタイプのビレイデバイスの一番のセールスポイントは何といってもロープの繰り出しやすさです。ロープを出すのに苦労することは全くありません。
また正しい使い方をすれば、ATCタイプの中ではロープを握りすぎて疲れる心配が少ないモデルです。
悪い点
私が見てきた中で、トップロープ中のロープ操作ができている人はほとんどいません。昔からやっている方はもとより、比較的最近始めた方でも間違ったやり方で行っています。
このタイプのビレイデバイスは、それぞれの教わった環境でロープワークが異なってしまい、正しいビレイをしていない方を増やしているといえます。
このデバイスが悪いというより、この方式のデバイスの使い方の問題点と言えるでしょう。
スポーツルート専門の方は”ベルソ”
マルチピッチ・沢登りをするなら”ルベルソ”
アルパインアップ レビュー
オートロック機能付きのビレイデバイスになります。
アルパインアップは、通常の使用時はルベルソと同じロープワークです。
クライマーが落ちるなどロープが勢いよく出るとロックされ、ビレイヤーがロックを解除しない限りロープは出ない構造になっております。
デバイスのデザインはゴツくてかっこいいのですが、わたしは使い勝手が悪く感じ使うのをやめてしまいました。
使うのを辞めた理由は使いにくいからです。
例えば、ロープを繰り出すときに勢いよく出すとロックしてしまいクライマーがクリップできなくなってしまうことが上げられます。
また、一度ロックしてしまうとロックの解除にコツが必要で、アルパインアップになれるまで時間がかかったからです。
オートロック機能が作動する一連の流れを説明すると下の通りです。
- クライマーがクリップしようとする
- ロープを勢いよくだしオートロック機能発動
- オートロック解除にもたつく
- 焦って余計解除に時間がかかる
- クライマー疲れる
ATCパイロット レビュー
ATCパイロットは大変使いやすいデバイスです。
基本的にはATCとほとんど同じようにデバイスにロープを通して使うのでATCで慣れた私にとっては使いだしから違和感無く使えました。
ロープセットはビレイデバイスに絵が描いてありまず間違いが起こりにくいでしょう。
ATCパイロットの操作性について
このデバイスのフックに左右どちらかの親指を、ビレイデバイスのフック形状のところにかけてロープとデバイスを一緒につかみ、少し持ち上げるようにして使います。
ロープはフックをつかんでいない側の手で繰り出すもしくは、たぐる 操作をします。
ロープを繰り出すときは、ロックを防ぐためにフックをつかみ、少し持ち上げるようにして操作します。
勢いよくロープが流れるとロックされます。ATCパイロットのロックのメカニズムはデバイスがカラビナ側に引き寄せられて、カラビナとデバイスでロープを挟み込むことで行います。
文章ではわかりにくいので動画を作りました。気になる方はご覧ください。
ATCパイロットの使い方を動画で解説
ATCパイロットの持ち方が悪いと繰り出しでロックすることもあります。
これはデバイスのフックを握っていないときにおこるだけで、ロックしてもいったん緩めればまたロープが出るので焦ることも少ないです。
このようにポイントを押さえて使えば操作ミスもなく、仮に人がミスを犯しても、急激にロープが動けばロックが働く機能があるので、クライマー側目線で見ても安心してビレイを任せることができます。
よくできていると感じるポイントは、オートロック機能付きにも関わらず、ロープの操作中にはロックしにくい点です。この相反する機能を共に成立させているので今のところ、最もお勧めしたいビレイデバイスです。
悪い点
懸垂下降しにくいということです。オートロックを緩く外しながらロープを出していくのですが、なかなかスムーズにいかず、かつ本体が熱を持つので結構扱いに困りました。
ロープとの組み合わせによっては、ビレイ中のロープスタックが発生します。この事象については、別の記事で書いておりますので、こちらの記事をご確認ください。
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