kubo's.blog Written by s-kubota

リードクライミング カラビナ&クイックドローの選び方

クライミング

リードクライミングで使うクイックドロー

私は値段で選んで失敗しました。

そんな経験をすると、逆にどんなカラビナが使いやすいか見えてくるものです。

クライミング歴15年分の失敗をもとに書いていきます。

あなたがこれからクイックドローを購入しようとしているならば、この記事を読めば無駄なお金を節約できるでしょう。

記事中にお勧めのクイックドローを紹介しているので参考にしてみてください。

リードクライミングにおけるクイックドロー(ヌンチャク)

有笠でのリードクライミング

クイックドローを使う理由はロープをカラビナにかけて落ちても確保するためです。

そして、このロープをかける作業がリードクライマーになるための一つの関門になっています。

ボルダーが強い方をリードを進めても断る理由のトップ3に入るのがロープをかけるクリップという作業です。

同じように見えるクイックドローでもカラビナの種類によってかけやすさ(クリップのしやすさ)が変わります。

ルートによってはクリップ核心になってしまう場合もありますので、買い替えが少ないクイックドロー選びは重要です。

カラビナにロープを掛けるのが なぜそんなに難しいのか?

ブラックダイヤモンド、ペツル、ロックテリクス、DMM,メトリウスなどのカラビナ
ロープを掛けやすくするするため各社さまざまな形状のカラビナをラインナップしています

クリップのしにくい理由は2つあります

  • クイックドローがプラプラしていること
  • ゲートを開けつつロープも一緒に操作する

いくつかやり方はあるのですが、ペツルの輸入代理店のALTERIAさんのHPで紹介しているのでこちらを参考にしてみてください。

クイックドローの危ない使い方が、図解と共に説明してあるので大変わかりやすい内容です。

経験者もたまには、基本的な説明を読むことをお勧めします。なぜならば時代の変化と共に安全な使い方の定義は変化することがあるためです。

クイックドローにクリップするときの注意点

クリップの方法は見てみましたか?簡単にできそうでしょうか?

クリップしている間は、もちろん片手で落ちないように保持していなければなりません。

クリップしている最中に力尽きて落ちたら・・・これを一般に”手繰り落ち”と呼び、ロープを手繰っている分落下距離が延びるので大変恐ろしく感じます。

最初にクイックドローの機能の話をしましたが、クリップしにくいカラビナもしくは、クイックドローそのものを選んでしまうと、確保に至るまでに体力を使ってしまいます。

そのためできるだけストレスなくクライマーがクリップできるようにと、各社様々なクイックドローをラインナップしているのです。

私のクイックドロー選びの失敗

私が初めて買ったクイックドローは、BD社の型落ち(当時)モデル。ネット通販(楽天だったかな)で1本1300円くらいだった気がします。

まず、カラビナが良くない。

カラビナなんてみんな同じでしょ?と思うかもしれませんが、使いにくいものはとことん使いにくいです。

型落ちモデルのクイックドローの購入前の注意点

使いにくいカラビナの特徴
初めて買ったクイックドローのカラビナ  このカラビナ本体のコの字の切り欠きがとても邪魔

私の買ったクイックドローについていたのは、ゲートについたピンをカラビナ本体のフックにひっかけるタイプでした。

このタイプは、ロープを掛けるときは特に気になりませんが、ロープを外すときには てきめんに使いにくさをアピールしてきます。

とにかく、カラビナ本体のフックになんても引っかかるのです。ロープも引っかかるし、ボルトから外すときもボルトに引っかかる。

傾斜のあるルートで回収するときは、ボルトからカラビナが外れずイライラしてしまいます。

クイックドローのスリングが細いと軽くなるがよく揺れる

当時は軽量が一つのトレンドだったのかもしれません。そのためかスリングは細く幅が1㎝程度のものです。

スラブや、垂壁ではさほど気になりませんが、傾斜がある被ったラインでは、クイックドローがめちゃくちゃ揺れるのです。

ただでさえ、クリップの体勢を作って一刻も早くロープを掛けてしまいたいのに、カラビナがぶらぶら揺れまくる細いスリングの物は安定せず使いにくいのです。

上記のような理由で、私はロープ側のカラビナだけでも使い勝手の良いカラビナに付け替えていきました。

クイックドローのスリングの長さの選び方

クイックドローが並んでいるのを見ていると、クイックドローのスリング長さが違うものが並んでいることに気づくと思います。

スリングは何を見て使い分けるのが良いのでしょうか?

直線的なルートはオーソドックスな長さのスリングのクイックドローを選ぶ

クイックドローの選び方 直線的ルートの場合
まっすぐなルートではオーソドックスな長さのクイックドローでOK

多くのスポートルートでは、ボルトがまっすく並んだルートが多いと思います。このようなルートでは特に気にせずオーソドックスな長さのものを使って問題ありません。

直線的でも被ったルートでは長いスリングを使う場所がある

どっかぶりでは長いクイックドローも準備しよう
どっかぶりルートでは、長いクイックドローも必要です。
  • ルーフ内にボルトが打たれている
  • ルーフの入り口にボルトが打たれている

上記の位置でスリングの短いクイックドローを使うと、ロープの流れが極端に悪くなるので、長いスリングのクイックドローが必要になります。

ロープが曲がる場所には長いスリングの付いたクイックドローを選ぶ

トラバースルートでも長いクイックドローは活躍
トラバースのイメージ ロープをできるだけまっすぐにするために長いクイックドローを積極的に使いましょう。

小川山の”とろろ”や、”水曜日のシンデレラ” また、有笠の”予感”ではトラバースパートが出てくるので、長いスリングの付いたクイックドローを持っていく方が良いでしょう。

また、ナチュラルプロテクションを使うトラッドルートや、マルチピッチでは、通常のクイックドローではなくアルパインヌンチャクと呼ばれる、60㎝のスリングを使ったクイックドローを使った方がロープの流れが良くなり、快適にクライミングができるようになります。

マルチピッチ、アルパインヌンチャクについての記事はこちらを参考にしてください。

ポイントは、ロープが”く”の字になるところに使う です。

このくの字をできるだけ真っ直ぐにするようにクイックドローのスリングの長さを選ぶのです

ちょうどクイックドローのカラビナが岩の凸に当たる

ALTERIAのHPでも出ていましたが、岩がカラビナに直撃する場所や、てこの原理がカラビナに働いてしまうポイントでは、スリングの長さを調節してカラビナがフリーになるようにしましょう。

ナチュラルプロテクションを使うルートでは、水平クラックにカムをセットしたときに、ちょうどクラックの出口にカラビナが当たり、”てこの原理”が働いてしまう状況を生み出すことがしばしばあります。

このような場合は、スリングの長いクイックドローを使ったり、アルパインヌンチャクを使いカラビナをフリーにしてあげましょう。

ナチュラルプロテクションが動かないように長いスリングのクイックドローを選ぶ

下の写真は、ナッツを決めたあと、クイックドローのスリングの長さを変えた場合の比較です。

左側が、ロープをたるませた場合、右側がロープを引っ張った場合を比較しています。

ナチュラルプロテクションが外れる理由の多くは、セットした位置からナチュラルプロテクションが動くからです。

そして動く原因はロープの流れがナチュラルプロテクションに伝わってしまうからです。

ナチュラルプロテクションで安全にクライミングするためにはロープの動きをナチュラルプロテクションに伝えないクイックドローを選ぶことが重要

ナッツを決めた位置と、カラビナのかかっている位置を比較していますが、スリングが短い(上の写真)の方は、ナッツのワイヤーが持ち上げられている様子がわかります。

これに対して、下の写真は60㎝のスリングを伸ばし切った状態ですが、ほとんどナッツのワイヤーは動いていないことがわかります。

ナチュラルプロテクションでは短いクイックドローはプロテクションが外れる要因にも
短いスリングはプロテクションが揺れやすく、プロテクションが抜ける原因につながります。
ナチュラルプロテクションでは積極的に長いスリングのクイックドローを使おう。アルパインヌンチャクはさらにgood
長いスリングはプロテクションが揺れないのでナチュラルプロテクションでは積極的に使いましょう

ナチュラルプロテクションは、ロープの揺れで外れてしまうことがしばしば起きます。

落下時確保してくれるプロテクションが外れないようにするためには、適切なクイックドローを選ぶ必要があります。

ロープの揺れをプロテクションに伝えないようにするためには、クイックドローのスリングが長いものを使うのがおススメです。ここでもアルパインヌンチャクが活躍します。

トラバース要素の強いボルトレイアウトのにおけるクイックドローのスリング長さ

まずは、11㎝の場合 黄色がロープなのですが、クイックドロー(水色)がかなり持ち上げられている様子が見え、さらにその先のトライカム(オレンジ)のスリングも持ち上げてしまっています。

トライカムのヘッドよりも高い位置にクイックドローが持ち上げられているので、トライカムは外れてしまうかもしれません。

スリング長さ11㎝のクイックドローでトラバースを想定した場合
トライカムが抜けそうなほどクイックドローは跳ね上がってしまう

次にクイックドローのスリング長さ25㎝のものです。

25㎝もクイックドローとしては、長いほうだと思いますが、それでもどうにかトライカムのヘッドと同じぐらいの高さまで上がってしまいます。

やはりトライカムが外れやすくなるといえるでしょう。

スリング長さ25㎝のクイックドローでトラバースを想定した場合
トライカムが抜けそうなほどクイックドローは跳ね上がってしまう

最後にアルパインヌンチャクの場合です。

さすがに、スリングの長さが60㎝もあるので、スリングが引っ張り上げられることもないようです。

これならは、トライカムが抜ける要素はかなり低くなっているともいます。

スリング長さ60㎝のクイックドロー(アルパインヌンチャク)でトラバースを想定した場合
トライカムは抜けないだろう

アルパインクイックドロー(アルパインヌンチャク)の作り方

動画で説明してるので参考にしてください

1本は持っておきたい”長いクイックドロー”(長ヌン)

クイックドローのスリングの形による使い分け

これからどれだけ続けるかわからないクライミングにたくさんお金を使うのは得策ではありません。○○ようにこのスリングを!というつもりはありません。6枚セットなどで売られているクイックドローを購入する際には、スリングは太いものを選ぶのが無難でしょう。

クイックドローのスリングが太いメリット

スリングをつかんで前進するのも勇気ある決断か?
  • クリップが安定する
  • いざというときつかみやすい
  • 太いほうが安心感がある

とにかく、クイックドローは揺れにくいものを選ぶ方が良いです。クリップミスが減ります。

被ったルートでは、クイックドローが完全にプラプラしてしまうので、少しでも安定する太いスリングのクイックドローを選ぶべきです。

私は、細いスリングのクイックドローを購入したことで、より一層クリップに苦手意識が付いた気がしています。

友達に騙されたと思って使ってみろ と勧められ使ったところ圧倒的な安定感。

一度使い始めると安心感が湧き離れられなくなります。そのため、自分の細いスリングの付いたクイックドローからスリングを外し、太いスリングを購入して付け替えました!

軽量さを優先するならば、やはり細いスリングの独壇場でしょう。

ただし、数本程度では軽量の恩恵を受ける気はしません。10本以上になるとさすがにわかるとは思いますが、スポートルートで10本前後なので恩恵は少ないのではないでしょうか。

小川山のとろろは他にはないルートだと思いますが・・・

クリップに適したカラビナは?

各社クリップしやすくするためにさまざまな工夫をしています。

オーソドックスなカラビナとしてロックテリクスを使うことにしました。

比較方法は、カラビナを握りこむようにしてクリップする様子 です!

当たり前ですね!

以下の画像は、クイックドローを岩側から見た写真です。クライマー側から見ると、手の甲でカラビナが隠れてわかりにくいためです。

ロープをクイックドローに掛けて確認してみよう

ロックテリクスのベントゲートのレビュー

ロックテリクスを使ったクイックドロー(ヌンチャク)

わたしはロックテリクスはコスパが良いので好きです。

親指の付け根でロープを押し込みますが、きっかけになるような、引っかかるポイントが無くロープが安定しない印象です。

まぁ、クリップなんて習うより慣れろ!って感じなんでしょうかね?

ブラックダイヤモンド(BD)社のベントゲートタイプ ”BD10077ブラック”のレビュー

BDのカラビナを使ったクイックドロー(ヌンチャク)

ベントゲートが、緩やかにカーブするというよりも、折れ曲がりのポイントができている感じですね。

ロープを掛けた感想は、ベントゲートの折れ曲がり点と、カラビナ本体のフック部分の飛び出している形状により、ロープの位置が安定するので、ロープを押し込みやすい印象です。

カラビナを握りようにしてロープを掛けていくと、きっと収まりの良い場所を見つけることができると思います。

ペツル(PETZL)ジン ベントゲート(DJINN BENT GATE)レビュー

ペツルのジンを使用したクイックドロー(ヌンチャク)手の大きい人向けのカラビナ

ペツルのジンは、今回試したカラビナで最も幅の広いカラビナです。写真では細長く見えてしまいますが。

形状の特徴は、ゲートの反対側がくの字に折れていることと、ベントゲートが短いことだと思います。

ゲートの反対側がくの字に折れていることで、触ったときに どの指の付け根にくの字に折れているポイントが触れているか即座にわかる。という特徴があります。

クリップした際に、瞬間的にカラビナのいつも触っている場所がすぐに見つけられるでしょう。

手の大きい人の中には、細身のカラビナでは握りこみにくいと感じている人もいるのではないでしょうか。ペツルのジンは、幅が広い設計なので、しっくる来るかもしれません。

DMM アルファ スポート(Alpha sport)レビュー

あまりに掛けやすいためクリップの瞬間がブレてしまいました

クリップしやすいカラビナ を検索すると大体出てくるのが、DMMのこの アルファ

特徴的なベントゲートと、ゲートの反対側がくの字に折れているのが特徴的ですね。

前出のペツルのジンと同様に、アルファ スポートもこの折れ曲がり形状が手のひらの中にカラビナを収めた時に、クリップの位置を教えてくれます。

そしてこのベントゲート。

ここにロープを入れてくれ!

そういっているようにしか見えないです。実際クリップしてみると、ロープがスッとベントゲートに収まるのがわかると思います。

クリップしやすいカラビナはどれ?

やはりDMMのアルファがクリップしやすいと感じました。ロープのおさまりが非常に良く他のカラビナにはない特徴です。

ただし、このカラビナお高いのでご注意を!カモシカスポーツで2160円でした。

その次に良かったのは、ペツルのジン!

幅広のカラビナは、他には無い安定感を感じました。握ったときの安心感とでもいうような心地よいサイズ感でした。

続いてBD、ロックテリクスの順番でした。

もちろん私の感覚としてですが。

ただし、BDのカラビナはコスパが非常に優秀です。1個900円以下なので、DMMのアルファ1個に対して、2個買ってお釣りがくるのです。

カラビナの選び方について考えてみる

クライミング歴15年以上になるのですが、初めてカラビナに注目してみました。

今までは、値段重視で、安いからコレ!

なんて気分で買っていました。

ですが今回いろいろレビューしてみて、形状に意味があるんだなぁ~と改めて思いいたりました。

なんか最近ひし形増えた気がするぅ~

くらいにしか思っていませんでしたが、やはり意味があるのですね!

クリップしやすいカラビナを選べば確かに間違いはありませんが、すべてDMMのアルファ スポートで揃える意味はないかな。

と私は思っています。

ルートを通して、クリップが際どい 場所はルートをお通して1,2か所ではないでしょうか?

もちろんグレードが高くなるにつれて、クリップ能力も問われると思います。

わたしは、クリップしにくいところだけ、DMMのアルファを使い、それ以外は特に気にしないようになる気がします。

私は、カラビナにそんなにお金を使わずに他のところにお金を回した方が良いと思ってしまうので。カラビナ買うくらいならば、カムとか揃えたい!みたいな感じです。

グレード更新のためにカラビナをチョイス!

もっとも、グレード更新のために、カラビナを選ぶ というのももちろんアリだと思います。

クリップ中は片手になるので、保持力を消耗します。最高グレードを超えたルートに挑戦すると、1手ごとが、全力投球になってしまい、クリップがとてもつらくなりますよね。

そのため、クリップに労力を使わなくするためにカラビナに頼るというのも戦略の一つだと思います。

今回紹介したカラビナ

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カラビナについても記事を書きました こちら から