kubo's.blog Written by s-kubota

ルートクライミング ボルトを打って開拓のお手伝い

クライミング

壁に打たれたボルトを見るとどうやって打ってるのか気になったことはありませんか?

開拓を行っている友人のお手伝いをしてきましたので、まとめてみました。

ルート開拓 2つの方法

ボルトルートを作るにあたり、大きく分けると2つの方法に分けることができます。

グランドアップスタイルによる開拓

この方法は、登りながらボルトを打つことになります。そのためボルトを打つ最中は、フックなどを使って自分を確保します。

小川山開拓初期の頃は、もっぱらこのグランドアップ方式で行われていたようです。

また、電動ドリルではなくジャンピングとハンマーを使い手作業で穴を開けていたというので驚きです。

小川山のスラブルートの経験のある方は分かると思いますが、ボルト間隔がとても離れているとは思ったことはありませんか?

これはやせ我慢などではなく、単純に両手が離せるスタンスが現れるまでボルトが打てなかったから。という話も聞いたことがあります。

花崗岩のスラブはホールドもわずかにしかない場合も多く、フックて確保することもままなりません。

当時のクライマーに対してハイリスペクト!

ハングドックによるルート開拓

スポートルートの多くは、ハングドックスタイルによって開拓されていると思います。

この方法は、泥付きの急登をなどをよじ登り壁の上部まで登り樹木などで支点をとり、最初に終了点のボルトを打ち、ルートの上からボルトを打つ方法です。

この方法ならば、樹木などの自然支点を安全に取ることができれば比較的安全にルート開拓をすることかわできます。

特に落石のリスクはかなり下げることができます。今回開拓に参加させていただいたルートは屏風状の岩場でしたが、上部は沢山の小石がありギリギリのバランスで止まっている様に見えた石もいくつかありました。

ルート開拓の初期にこのような落石予備軍を排除できるのもこの方法のメリットだと思います。

自然の中でのこのような発見は改めて、クライミングが自己責任の上に成り立っている事に気づかせてもらいました。

ボルトの種類

ルートの岩場に行くと様々なボルトが打たれている事に気づくのではないでしょうか?

スポートルートのボルトの歴史

ボルトの歴史と言っても、書籍などで読みかじった程度の知識ですので話半分程度で聞いていただければと思います。

ボルト以前の世界は、ナチュラルプロテクションで確保していました。その前はどうやってたのかご存知でしょうか?

プロテクションの現れる前は、クラックにたまたまはさまっていた小石にスリングをかけて確保していたそうです。クレイジーですね。

そこから少し発展し、自分で小石を持ち込みクラックに挟み込み、スリングを掛けていたそうです。

そうこうしているうちに、産業革命がおこり労働者階級のクライマーがマシンナット(六角ナット)にスリングを掛けて使うようになったそうです。

確かに六角ナットならば、規格でサイズが決まっているので、誰もが共通のサイズ感で話ができる様になりますね。

現在のナッツの語源はナットから来ているのではないでしょうか?

歴史は飛びますが、フリークライミングが輸入される前の話。日本で登山ブームが起こったときに日本のクライミングの黒歴史が始まったようです。

世界の高山では、ディレッティシマ スタイルとも言うべき より高難度なルートを登るブームが起こりました。

簡単に言うと、岩の弱点を突かずに直登するということです。

その流れは日本において、ひたすら壁にぶら下がってボルトの穴あけをひたすら行うと言う ただの苦行で時間をかければ誰でもでき、陳腐化した行いだったと思います。

その頃使われていたのが構造も簡単なリングボルトです。

マルチピッチなどで見かけるリングボルト 本来エイドクライミングの前進用の為穴あけ作業の時短の目的で浅い穴で済む構造 フリークライミングでのフォールに耐える作りではない

歴史のある岩場では未だによく見かけます。特にマルチ。

リングボルトは壁にボルトを打ち続けるような行為に特化したボルトと言えます。

開ける穴の深さは2センチ程度で穴径も8ミリ程度。

リングボルトの打設は、穴に突っ込んでハンマーで叩けば良いだけなので、ボルト連打ルートにおいては重宝したことでしょう。

このリングボルト ただの前進用のものなので実は落下衝撃に対して強くありません。

リングボルトの軸も細いですし、穴の深さも浅いので当然と言えば当然ですが。

RCCボルト

RCCボルトはリングボルトに比べるとだいぶ改善された作りになっています。

RCCボルトはカラビナを掛けるアゴの部分が、岩に接しているので、クライマーが落下した際の衝撃をアゴから岩へ伝える事でボルトの軸にかかる負担を下げる事に成功しています。

ですが、ボルトの固定方法はリングボルトと同じでしかも、構造的にリングボルトより穴深さの精度が必要になるという欠点があります。

またアゴがガッツリ出ているのでクライマーが怪我をするリスクも高まります。

アンカーボルト

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やっと昨今よく見かけるアンカーボルトまでやってきました。

ペツルのクールボルトのような クライミング用に売られているボルトは、ボルトのナットを締め込めば締め込むほどしっかり効くような構造的になっています。

つまり、クライマーが落下した衝撃でもボルトに対してはより強固に岩に食いつくことができます。

これに対してホームセンターで売られているアンカーボルトは、大抵ボルトの真ん中に穴が空いており、その穴に芯棒が刺さり、穴にボルトをセットした後その芯棒を叩き込む事で穴を押し拡げて固定しています。

このホームセンターで売られているアンカーボルトの欠点は、ボルトに穴を開けている以上ボルト断面積が小さくなるので強度は確実に下がります。

また、芯棒の穴から水が入りやすいのもネガ要素です。

穴の中に水が入ると、ボルトの腐食や、中の水分が凍結し膨張する事で、岩やボルトにダメージを与える事が予測されます。

現在使われているクールボルトのようなクライミング用のボルトが出回る前には、芯棒が入ったアンカーボルトが打たれたルートが数多く見かけますので、今後ボルトの打ち替えが期待されます。

ケミカルアンカー(ボルト)

近年ボルトの打ち替えと共に増加しているのがケミカルアンカーです。

特に岩自体が弱いとされる石灰岩で重宝されていると思います。

ケミカルアンカーはリングの付いたステンレスの棒を岩に開けた穴に接着剤で固定する方法を指します。

ケミカルアンカーは絶対の安心感を与えてくれますが、穴の中の削りカスの清掃が不完全だと土台の岩とちゃんと接着できず、強度が不足すると言われています。

ツィッターでそのような理由でボルトが簡単に外れたなんて投稿を見ました。

この投稿の原因はわかりませんが、おそらく清掃が不完全だったのではないかと思いました。

またケミカルアンカーは接着剤が安定するまで強度が出ませんので、打ち替えた直後の表示がある場合は、施工から充分硬化するだけの時間が経っているか確認しましょう。

施工した方がちゃんとした方ならば張り紙などで表示していると思います。

クールボルト設置の手順

ミゾーのハンマーで岩を叩いて岩がもろくないか確認

穴を開ける前に岩がもろくないかハンマーでたたいて確認します。

明らかに軽い音がするときは岩の奥に空間があったり、フレーク状だったりしますのでこのような軽い音がする場所は避けます。

叩いても音が響かずしっかりした場所を選びます。

ハンマードリルによる穴あけ

KIMOのハンマードリル リードクライミングの開拓で使用

ハンマードリルで岩に穴をあける時の注意点は

  • 壁に垂直に穴をあける
  • ボルトがしっかり収まる深さの穴をあける

の2点です。

壁に斜めに穴を開けてしまった場合、固定するハンガーが岩の壁に傾いて付くことになり、後々ハンガーが変形しクルクル回るようになったり、ハンガーが岩に密着しないことでボルトに過剰に荷重がかかってしまい、ボルトの破損に繋がる恐れがあります。

穴の深さが足りずボルトを打ち込んた場合ナットを最後まで回してもハンガーが岩に密着しなくなる事が予測されます。

ハンガーが岩に密着していない場合は、斜めに穴あけをした場合に説明したとおり、ボルトに過剰に負荷が掛かり破損の恐れが強くなります。

また、クールボルトは、一度打ち込むと抜けなくなりますので穴あけ深さは充分取りましょう。

今回私がAmazonで購入したKIMOハンマードリルには深さを一定に保つバーがついているので活用しました。

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ドリルについて

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ドリルはコンクリートドリルという、コンクリートや、岩専用のドリルを使います。

ドリルの先端に超硬のチップがロウ付けされているもので、木材や金属は切り込まないのでまともに穴をあけることができません。

このドリルは、ハンマードリル専用のものが多く、岩に超硬チップを叩きつけながら回転する事で岩を砕きながら、出てきた岩の粉を排出することができます。

余談になりますがホールドに回りどめのビス穴を開ける時にも使います。

これはホールドの材料に珪砂などが入っている場合に一般的なドリルではすぐ刃が欠けてしまうためです。

クールボルトを設置するのに適したドリルとは?

コンクリートドリルには超硬チップが、先端が山型のものが1つだけのものと、2つ以上のものとあります。

開ける穴はできるだけ真円にしたい場合、先端のチップの数が多いものの方が良いようです。

チップが多い方がコストも上がりますが、そう簡単に摩耗しないのでお金をかけましょう。

まぁボルトは命に直結する要素なのでケチケチしない方が良いでしょう。

岩に開けた穴の掃除

クールボルトを打ち込む際にはしっかり穴の中を掃除する

細かい粉が出てきますので顔はできるだけ離し、塵肺も懸念されますのでマスクをしたほうが良いでしょう。

天気が良い場合、壁には上昇気流が発生するので胸の高さで作業していても顔面に飛んで来ます。

粉が出てこなくなるまで何度も空気を送りましょう。奥だけでなく、穴の中ほど、入口もしっかり掃除します。

クールボルトの埋設

クールボルトを叩き込む前の状態

ボルトにハンガーをセットし、ナットを入れた状態でハンマーで叩き込みます。

ナットは後からでも良い気がしますが、ハンマーでネジ山を潰してしまうとナットが入らなくなってしまいますので、叩き込む前からナットはセットしましょう。

クールボルトをミゾーのハンマーで叩き込む

ハンガーの所まで叩き込んだらスパナで締め込みます。

このとき、ボルトナットと一緒に回転する(供回り)する事もあるので、素早くナットを回すと良い。と、教えてもらいました。実際何度か供回りは発生しました。

穴の内壁がザラザラかツルツルしているかの差で起こるのでしょうか?同じように穴を開けていても供回りするときと、しないときとありました。

ナットが回らくなるまでしっかり固定できたら完成です。

岩に埋め込み終えたクールボルト

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