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安全環付きカラビナの種類と選び方

クライミング クライミングギア

カラビナのゲートをロックできる安全環付き(あんぜんかんつき)カラビナの種類と使い方について考えてみたいと思います。

安全環付きカラビナの選び方の参考にしてください。

安全環付きカラビナを使用用途大きく分けると、ATCや、グリグリなどのビレイデバイスに使うカラビナと、トップロープの支点や、自分自身の確保用(セルフビレイ)の2タイプに分類できると思います。

安全環付きカラビナ ビレイ用と確保用
左はビレイ用 右はセルフビレイや支点に使いやすい

安全環付きカラビナの安全環とは?

安全環付きカラビナって名前長いですよね・・・

名前が長いので”アンカン”などと呼んだりします。

何をもって安全をうたっているかと言えば、ゲートが勝手に開かないという点です。

カラビナのゲートが勝手に開くわけない!と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、カラビナに通したロープが素早く流れると、カラビナが細かく振動するそうです。このような状況下では、ゲートは細かく振動しながらゲートが開いてしまうそうです。こういったときにネジで締めこんであれば開く心配はないと言えるでしょう。また、ビレイや、トップロープの支点として使用する際には、ロープの流れでゲートが開くだけでなく、岩や体にゲートが当たることで不用意にゲートが外れてロープがカラビナから外れることも想定されます。

このように、このカラビナに安全のすべてがかかっている!場所に安全環付きカラビナを使います。

ビレイ用カラビナを選ぶ

ビレイ用のカラビナはビレイデバイスが入るように設計されているので、丸みのあるボッテリとした形状が特徴で、洋ナシ形と呼ばれます。

ビレイ用に設計されたカラビナは、ビレイループにセットしたときに、カラビナの位置が変わらないように設計されています。このような形状が一般化する前は、カラビナのワイド形状がビレイループ側、細くなっている側がビレイ器側に回ってしまうことがしばしば起きていました。

クライミングテクノロジーとブラックダイヤモンドのビレイ用カラビナ

近年ビレイ用として販売されているカラビナは、何らかの方法でハーネスのビレイループから動かないようにする工夫がされています。先述しましたが、このような機構が無いとカラビナが回転してしまいます。回転したところで大きな問題はありませんが、気になって集中力が続かなくなってしまうこともありました。

ペツルのグリグリにクライミングテクノロジーのカラビナの組み合わせ

ブラックダイヤモンドとクライミングテクノロジーの安全環付きカラビナとグリグリと組み合わせでは、クライミングテクノロジーのカラビナの方がグリグリの収まりが良い気がしたので最近はこの組み合わせで使っています。決してブラックダイヤモンドのカラビナが悪いわけでないのですが、何となくでこの組み合わせです。

グリグリ専用カラビナ

スポートクライミングのオートロック機能を持ったビレイデバイスといえばグリグリ!

そんなグリグリですが、グリグリ専用のカラビナがあるのはご存知でしょうか?

グリグリ専用のカラビナを使うことでより安全かつスムーズにロープ操作ができるように設計されています。

カラビナ横についているワイヤーゲートのカラビナは、グリグリでロワーダウンするときにロープをこのカラビナに掛けます。この部分にロープをかけることで、グリグリでありがちなぎこちないロワーダウンもスムーズに出来そうです。

メガジュル スマート ATCパイロットのようなオートロック方式のビレイデバイスに適したカラビナ

見た目がATCと大差ないが、ロック機能を持ったビレイデバイスが増えてきたと感じます。

このようなビレイデバイスは、カラビナとセットになって初めてロープをロックすることができます。そのためカラビナもしっかり選びましょう。

D型カラビナはチューブ型ビレイデバイスに向かない

リードクライミングのビレイ用に適した安全環付きカラビナ

ビレイデバイス用のカラビナと言えば、洋ナシ形のボテっとした形状のものが向いています。それはメガジュル スマート ATCパイロットなどのビレイデバイスとも相性が良いです。

ところがD型タイプの安全環付きカラビナとの相性は悪くなります。なぜならばD型のカラビナは、ロープのラインに対してカラビナが傾いてしまったり、カラビナの断面形状がひし形になっているので、ロープのロックが均一にならない可能性があります。

これに対して、ビレイ用のカラビナは、ロープとカラビナが一直線上になり、カラビナの断面形状が丸いのでブレーキのかかり方も均一になると思います。

セルフビレイに向いている安全環付きカラビナ

セルフビレイ用に使うカラビナはゲートがロックできれば何でも問題ありません。ですが、使ってて便利に思うポイントがあるので紹介したいと思います。

セルフビレイをするときにはどんなときか?

インクノットで固定した安全環付きカラビナ

セルフビレイを取るときは大抵片手が使えない場合が多いです。これは、片手でホールドを持って体を保持しているためです。

そんな時はできるだけ早くゲートを開けたくなります。ゲートを開けやすい安全環付きカラビナはスライドロックや、押しボタンなどのメカ機構タイプのカラビナが使いやすくなります。

ネジロックタイプ(スクリューロック)は、何回転も回さないと開けることができず、片手で開けたいときは手間取ってしまいます。ですが、スライドロックや、押しボタン方式を採用しているカラビナは、基本的にワンムーブで開閉できるようになっています。

ツーアクションタイプの安全環付きカラビナ

メカ機構タイプのカラビナは最初こそ使い難く感じるかもしれませんが、なれると普通のカラビナと大差なく開閉できると思います。

ちなみに、私はパス(セルフ用のチェーン状のスリング)とカラビナをつなげるところには、クイックドローで使用しているゴムを付けて、カラビナからスリングがすっぽ抜けるのを防いでいます。

パスやディジーチェーンなど束ねて収納する際に、末端部だけは絶対外れないようにしたいのでこのような方法をとっています。

カラビナはつかんではいけないが・・・

カラビナはつかんではいけないというものの

カラビナは基本的に掴んではいけない と教えてもらっていると思いますが、私はセルフビレイに使用しているカラビナだけはつかむことが多くあります。

そもそもカラビナが掴んでいけない理由は、持っている最中に足が切れたりした際に、指を怪我したり最悪の場合切断してしまうといわれております。

あくまで私の私見ですが、セルフビレイで使用しているカラビナは大型で手のひらを使って握れますので手だけで握っても、怪我、切断はしないと考えています。

筆者の安全環付きカラビナの考えかた

様々なスクリューロック方式の安全環付きカラビナたち

私の安全環付きカラビナの考え方は単純で、自分しか使わないものは、オートロックでもスクリューロックでもよいが、他の人と共通で使う可能性がある物はスクリューロック式を選ぶということです。

他の人と共通で使う場合として挙げられるのが、

  • トップロープの支点
  • マルチピッチでの支点
  • そのた、ロープを使った登山(沢登りや、雪山登山など)全般

スクリューロック方式であれば、使い方も説明しなくてもロックの解除方法が明瞭で操作ミスも起こりません。

これに対してオートロック方式は、2つ以上の動作が必要になり 初めて使う人にとってはストレスになってしまいます。

トップロープの終了点とビレイヤーとクライマーが意思疎通するのって難しいですよね。

上記の理由の為私の持っている安全環付きカラビナは、スクリューロック方式が多くなります。